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発達性協調運動症(DCD)とは?

更新日: 発達障害

発達障害の一つとして、「発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder: DCD)」が注目されるようになっています。
DCDは、手や足などの運動の調整が難しく、日常生活や学習に困難が生じる障害です。
これまで発達障害の枠組みの中で明確に分類されることが少なかったDCDですが、近年は発達障害の一つとして認識されるようになりました。

DCDを持つお子さんは、知的能力や理解力には問題がないことが多いものの、「運動のぎこちなさ」や「手先の不器用さ」により、生活のさまざまな場面で困難を抱えることがあります。そのため、周囲の理解と適切なサポートが必要です。

DCDのお子さんが抱える困りごと

DCDのお子さんは、日常生活や学校生活、さらには対人関係の面でさまざまな困難を抱えることが多いです。

日常生活の困りごと

例えば、日常生活ではボタンを留める、靴ひもを結ぶ、箸を使うといった細かい動作が苦手で、食べこぼしが多くなることがあります。
また、自転車に乗ることやボールを投げる・キャッチするなどの運動が苦手なため、遊びの中でうまく参加できないこともあります。

学校生活の困りごと

運動が苦手な男の子

学校生活では、黒板の文字を書き写すのに時間がかかったり、鉛筆の持ち方がぎこちなく、文字を書くのが苦手だったりすることがあります。
体育の授業では走る、跳ぶ、投げるといった動作が難しく、運動を楽しく感じられないことも少なくありません。

さらに、対人関係においても困難を抱えがちです。例えば、友達と遊ぶ時に体の動かし方がぎこちないため、遊びに参加しにくいことがあります。
運動が苦手なことをからかわれることがあり、それが原因で自信を失ってしまうこともあります。自分の動作がうまくいかないことで「自分はダメだ」と感じ、学校や遊びの場面で意欲をなくしてしまうケースも見られます。

周囲ができるサポート

DCDを持つお子さんにとって、生活しやすい環境を整え、自信を持って活動できるようサポートすることが大切です。

日常生活のサポート

日常生活では、ボタンのない服やマジックテープ式の靴を用意したり、鉛筆にグリップをつけて持ちやすくしたりすることで、少しでも動作の負担を軽減できます。
また、箸の練習は焦らず、スプーンやフォークを活用することも選択肢の一つです。自転車の練習に関しては、無理をせず、補助輪やバランスバイクを活用しながらゆっくり慣れていくことが重要です。

学習面でのサポート

タブレットを使う子どもたち

学習面では、黒板の文字を書き写すのが難しい場合には、タブレットや写真で代用する方法が考えられます。
鉛筆の持ち方を工夫し、無理なく書けるようにすることも有効です。
文字を書くことが苦手なお子さんには、音声入力やタイピングを活用することで、学習のストレスを軽減できます。

運動面のサポート

運動面に関しては、体育の授業で一人ひとりのペースに合わせた指導を行うことが望まれます。
無理に運動をさせるのではなく、成功体験を積み重ねることで、「できた!」という自信を持たせることが大切です。
また、楽しみながら体を動かせる環境をつくることも、運動への苦手意識を軽減するのに役立ちます。

心理面でのサポート

先生に褒められる男の子

心理的なサポートとしては、「できないこと」ではなく「できること」に目を向けることが大切です。
小さな成功を積み重ねながら褒めることで、自信を育むことができます。

運動が苦手であっても、絵を描くことや読書、プログラミングなど、別の得意分野を見つけてあげることも効果的です。
また、友達との関係がうまくいかない場合は、遊び方を工夫し、無理なく楽しめる環境を整えることが大切です。

まとめ

発達性協調運動症(DCD)は、運動の調整が苦手なお子さんが抱える発達障害の一つです。
日常生活や学校生活でさまざまな困難を抱えますが、適切な支援を受けることで、生活の質を向上させることができます。

笑顔の子どもたち

周囲の理解とサポートがあれば、お子さんの「できること」を伸ばし、自信をつけることができます。「運動が苦手だからダメ」ではなく、「その子なりのペースで成長できる環境をつくる」ことが大切です。

お子さんが安心して生活できるように、家庭や学校でできる工夫を取り入れながら、温かく見守ることが大切です。保護者さまや教育関係者が連携し、適切な支援を行うことで、お子さんの可能性を最大限に引き出していきましょう。

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