知らずにやっていませんか？ マルトリートメントが子どもに与える影響と家庭での接し方

マルトリートメントとは、不適切な養育を指す言葉で、虐待とは異なりますが、心理的な影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、過度な叱責、無視、過度なプレッシャーをかける、比較して劣等感を与えるなどが該当します。

こうした行為が続くと、お子さんの自己肯定感が低下し、学習意欲の低下や対人関係の困難につながることがあります。

マルトリートメントが長期化すると脳全体の発達が阻害され、一部の脳領域が萎縮する可能性も指摘されています。特に前頭前野の萎縮は、感情のコントロールや判断力の低下につながるため、注意が必要です。

では、マルトリートメントにならないようにお子さんと接するにはどうすればよいのか、考えていきたいと思います。

家庭学習の際、「何度言っても宿題をしない」「集中力が続かない」といった場面で、つい叱ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、強く叱るとお子さんは「怒られたくない」という気持ちから学習自体を避けるようになることがあります。

例えば、宿題をやらない場合は「どうしてやりたくないの？」と理由を聞き、お子さんの気持ちを理解することから始めましょう。
そして、「宿題をするとどんな良いことがあるか」「どんな工夫をすれば取り組みやすいか」を一緒に考える姿勢が大切です。

また、行動を変えてほしいときは、「○○しなさい」ではなく、「○○すると、いいことがあるよ」と肯定的な伝え方を意識すると、お子さんも受け入れやすくなります。

「ちゃんとやらなきゃダメ！」「100点を取らなきゃいけない」といった完璧主義的な期待を押し付けると、お子さんはプレッシャーを感じてしまいます。

大切なのは、お子さんのペースで学習を進めることです。
「今日は10分だけ頑張ろう」「昨日より1問多く解けたね」など、小さな成功を積み重ねることで、自信を育むことができます。

もし、勉強に対する苦手意識が強い場合は、外部のサポートを活用するのも一つの方法です。
第三者の力を借りることで、お子さん自身の学習スタイルを見つけ、ストレスを減らすことができるかもしれません。

家庭学習の場面では、保護者さまが意識的にお子さんの気持ちに寄り添い、叱るのではなく伝え方を工夫することが大切です。
また、完璧を求めず、お子さんのペースに合わせることも、学習意欲を保つポイントになります。

さらに、マルトリートメントに該当する行為を避けることが、お子さんの精神的・脳の健康を守る上で重要です。
過度な叱責や比較を避け、安心できる家庭環境を整えることが、お子さんの健やかな成長につながります。

日々の関わりの中で、お子さんが「自分の家は安心できる場所だ」と思えるような接し方を心がけましょう。その積み重ねが、お子さんの未来をより良いものにしていきます。